高知地方裁判所 昭和５２年（わ）１６３号 判決 1977年11月17日
本店所在地
高知市大津乙一、八一七番地二
被告会社
杉本建設工業株式会社
代表取締役
杉本可一
本籍並びに
住居
南国市稲生二、〇五一番地
会社役員
杉本可一
昭和二年一二月五日生
右の両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官萩原三郎出席の上、審理をして次のとおり判決する。
主文
被告人杉本可一を懲役六月に、被告会社杉本建設工業株式会社を罰金五〇〇万円に各処する。
被告人杉本可一につき本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
（罪となるべき事実）
被告会社杉本建設工業株式会社は、高知市大津乙一、八一七番地二に本店を置き、土木舗装工事及びアスハルト・コンクリートの製造販売を目的とする株式会社であり、被告人杉本可一は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告会社の業務に関し、法人税を不正に免れようと企て、工事収入の一部を除外し、あるいは架空の外注費等を計上するなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、
第一 昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が三、一七七万〇、三八九円で、これに対する法人税額が一、一二三万六、八〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、同市本町五丁目六番一五号高知税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六二六万七、六〇二円でこれに対する法人税額が一八九万一、九〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税九三四万四、九〇〇円を免れ
第二 同四九年四月一日から同五〇年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が二、六八六万四、七四二円で、これに対する法人税額が九九八万七、九〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三一五万〇、五九九円でこれに対する法人税額が八四万四、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税九一四万三、六〇〇円を免れ
第三 同五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が一、八九五万八、七〇五円で、これに対する法人税額が六六九万一、八〇〇円であるにもかかわらず、同年五月三一日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二八一万五、〇三九円でこれに対する法人税額が七三万六、八〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により右事業年度の法人税五九五万五、〇〇〇円を免れ
たものである。
（証拠の標目）
一、登記官作成の商業登記簿謄本
一、杉本可一作成の杉本建設工業株式会社定款謄本
一、大蔵事務官浜喜久夫作成の脱税額計算書（三通）、簿外利益調査書、個人収支調査表
一、押収に係る法人税決議書綴一綴（昭和五二年押第六四号の一）、元帳五綴（同号の二、三、四）、固定資産台帳一綴（同号の五）、登記関係文書綴一綴（同号の六）、売上帳四〇枚（同号の七）、普通預金通帳一通（同号の八）、メモ用紙一枚（同号の九）
一、中島美代子（七通）、長縄邦彦、川久保信夫、島田政幸、北村進、吉井義徳、川久保泉、福重豊、中平志保、結城守雄、大山光一、高橋治男、廣内利夫、坂本利範、井上麗子、松岡隆夫、松本龍敏、小松健男、山崎博司の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、中島美代子の検察官に対する供述調書
一、西岡秀将（二通）、小松美佐子（二通）、柴田元、筒井啓子、川渕勝郎、竹村美和、楠原寛、斎藤義勝、竹内哲夫、西川憲二郎、中島美代子、吉村孝俊作成の各上申書
一、山崎博司、高橋治男、高橋松美、井上三於、植木隆導、竹村寿一、小笠原澄雄、竹内通、片岡泉水、野町浩、森本光茂、中村秀雄、磯本和良、上田敬造、竹島寛、高橋豊作成の各証明書
一、竹本美和、西川静枝、甲藤博三作成の各申述書
一、中沢京子（二通）、浜田喜美恵、坂井敏郎作成の各「取引内容照会に対する回答と題する書面」
一、住本令子、松本博子、上西典子、中山忠作成の各「保検契約の内容及び払込保険料金額照会に対する回答と題する書面」
一、瀬川満恵作成の「株式の異動及び配当金額照会に対する回答と題する書面」写
一、被告人杉本可一の大蔵事務官に対する質問てん末書（一六通）、検察官に対する供述調書及び当公判廷における供述
（法令の適用）
（事実）
被告人杉本可一につき法人税法一五九条一項、被告会社につき同法一六四条一項、一五九条一項
（刑種の選択）
被告人杉本可一につき懲役刑
（執行猶予）
被告人杉本可一につき刑法二五条一項
（裁判官 板坂彰）